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蒲田の集合住宅

​【蒲田の集合住宅】
構造体は、建築の中で最も強く、生活の中で最も頼りになる物質。乗っかってみたり、何かぶら下げてみたり、もたれてみたりなど、人間のそのときの突発的な欲望を許してくれる。その分厚いコンクリートに手に触れると、奥までずっしりと詰まっている質量感がわかるし、はじめはひんやりしてずっと座っていたらあったかく蓄熱してくれる。毎日手に触れていると愛着がわいてくるかもしれない。そんなことを想像しながら、手に届く、手に触れられる構造体を考えた。一般的に構造体は空間の輪郭の片隅で生活の邪魔にならない位置に存在することが多く、天井や床の中で隠され露わにならなかったり、手に届かなかったりする。むしろ、それらを生活と関係をもちえる領域に居すわらせ、建築だけでなく、生活も支えるストラクチャーを目指した。
敷地条件により、一般的なRCのラーメン構造のグリッドが崩れ、梁の位置がばらばらに配置されることになった。柱や梁は600×600㎜のぼってりとした寸法で、座ってみたり、寄りかかってみたり、隠れてみたり、乗っかってみたり、仕事場にしてみたり、フレームの中で居場所を見つけることができる。床も、フローリング仕上げの途中でRCの梁があらわれ、それを足で感じてみたり、そのタフな床(梁)の上でプランターを育てるスペースにしてみたり、住み手が、仕上げと構造の物質的な違いを、自分の身体感覚で選り分け創造的に暮らしていけるのではないかと考えた。

​武田清明

三石邸: ポートフォリオ
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