鶴岡邸

模型写真_外観
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模型写真_内観

古来から湧き水の循環によって、多様な植物群落が生息している石神井公園。敷地はその公園に隣接し、境界線をまたいで地続きの大地としてつながっていることが実感できる場所であった。そこで、敷地も公園の一部ととらえ、多様な植物と人間の居場所を同時に考える計画とした。

 

お施主さんの要望する二世帯住宅の大きさを考えると、敷地いっぱいの2階建てとなることが想定された。そのため、植物と人間の居場所を平面計画でゾーニングすることが難しかったため、断面計画でそれらが共存する新しいかたちを模索した。

まず、床を構成するスラブをフラットにせず土の深さが疎らにあらわれる不連続断面とすることで、いろいろな高さの多様な植物群落が混生できる土壌をつくり、宙に浮いた小さな森をつくろうとした。実がなる植物を点在配置させ、鳥が食べて糞から種が広がり、または公園の植物と入り交じりはじめの植物配置計画が積極的に崩れていくようにし、いろいろな生物と一緒に森をつくり常に更新されていくイメージだ。また、スラブのアール形状によって水が谷に集まり、自然に土のコアへたどり着くようになっている。土のコアとは、各スラブに降った雨が地上の大地へ水を縦につたわせるもので、人工の大地と自然の大地を水でつなぎ、石神井池への湧き水となれば、生きた循環がつくり出せるかもしれない。

この小さなの森は、建物外側を木漏れ日で覆いつくす。人工的なルーバーと違って、夏は葉で生い茂り日射遮蔽し、冬は落葉し日射熱を建築に届けるといった合理的な可変性を持っている。また、深さをもった土が、夏場の日射熱を断熱しながら人間をアールでくるみ、室内にも洞窟のような環境をつくる。

植物と人間が共生する器として建築をとらえ、植物の生みだす豊かさが空間を担うような新しい構成が見つかれば、人工物では到達できない気持ちのよさで住環境が満たされるはずだ。

 

武田清明