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SANU NOWHERE

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断面
House on Garden

都市の大地を解放する

 

敷地はかつて中小工場地帯の町工場や倉庫群を活かし、アパレル、インテリア、飲食などで賑わうエリアへ発展してきた中目黒にある。今回計画する既存建物もまちの来歴と同じく、1980年代の金物の町工場が、2016年にブルーボトルコーヒーとしてスキーマ建築計画によりリノベーションされたものだ。既に2世代の痕跡が混在する魅力的な建築であり、下層階をまちに開いた飲食店、上層階をオフィスとし、用途が大きくは変わらないことから、できるだけそのまま建物を使うことになった。その代わりに、建築家として,新築や改修をされつくした都市をどのように変えていきたいのか、そこに興味が湧いてきた。

まず、道路のアスファルト、建物のコンクリートスラブで蓋をされた大地を解放し、自然を再生成する力を都市に取り戻したい。しかし、これまで都市からしめ出されてきた自然を、そこに無理に存在させることもできない。自然と都市のエレメントを、相互補完関係で結びつけるように場をつくりたい。[1] すでにある都市建築の架構、それと対になる圧倒的な自然、巨石、多種の植物群を様々な地域から集めることから、計画は始まった。ひとつの場所を建築家と造園家がそれぞれのジャンルを横断しながら、スラブの解体位置、巨石や樹木の配置計画を交互に進めた。この設計はリノベーションというよりカルティベーション,つまり既存建築をどう耕し自然を織り込んでいくかというアプローチに近かった。

巨石は、道路から空間の奥深くまで、人の流れと溜まりを生み出すように平面計画された。また、それらの質量を活かし、巨石、既存梁、鉄板をスタティックロープで結び、引張力で天板を吊り下げ、既存の大空間に小さな落ち着きある天井高さの居場所をつくる断面計画とした。自然から採取されたままの無加工の立体物は、3Dスキャンすることで置く向きや位置の検討が可能となった。自然界からいったん借りているという考えの下、主に質量だけで固定されている。大[2] 地開いた空間の湿った土の香り、踏み込んだ時の柔らかな感触は、遠く離れた自然と都市が境界なく大地で繋がっていることを思い起こさせてくれるかもしれない。

都市に大小さまざまな自然を再生成する大地が点在することで、都市と自然の環境は近付き、都市の暮らしの中で自然に触れることがより身近で気軽になっていくような社会に向かっていきたい。
(武田清明)

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